方針・基本的な考え方
稲畑産業グループにとって、サプライチェーンは生命線であり、価値を創出するための土台であります。マテリアリティでも「レジリエントな調達・供給機能を通じた価値提供」を掲げ、優先して重点的に取り組む課題として認識しています。そのため、当社グループにとってのビジネスパートナーの皆さまは、価値創出の大切なパートナーであり、環境・社会課題の解決にも共に取り組むことで、相互の発展につなげていくことを目指しています。
2024年11月、これまでの「稲畑産業 サプライチェーンCSR行動指針」を発展させ、「稲畑産業グループ 持続可能なサプライチェーン方針」を定めました。
稲畑産業グループ 持続可能なサプライチェーン方針
1. 持続可能なサプライチェーンへのコミットメント
稲畑産業グループは、「レジリエントな調達・供給機能を通じた価値提供」をマテリアリティの一つに掲げており、商社グループとしての持続的な価値創出の土台はサプライチェーンにあると考えています。グローバルなサプライチェーンネットワークを生かし、変化する顧客や社会のニーズに応え、課題解決に貢献することが我々の重要な使命です。
環境や人権、労働条件等に配慮した持続可能なサプライチェーンの構築は、社会の一員としての責務であるとともに、さらなる我々の強みとなると確信しています。
当社グループのサプライチェーンに求められる共通の価値観として本方針を定め、すべてのビジネスパートナー*と協働し、共存共栄の関係を築きながら、社会に有用な価値を生み出していくことを目指します。
2. 適用範囲
本方針は、当社グループのすべての役員及び従業員(嘱託社員・派遣社員含む)に適用されるとともに、協働して持続可能なサプライチェーンを構築するすべてのビジネスパートナーにも適用されます。
3. サプライチェーンにおけるサステナビリティ推進ガイドライン
当社グループ及びビジネスパートナーが取引において共有すべき価値観や、共に推進していくべき事項を「サプライチェーンにおけるサステナビリティ推進ガイドライン」として定めます。本ガイドラインは、当社グループとのあらゆる取引における基盤となるものであり、当社グループのみならず、ビジネスパートナーの皆様においても理解と実践を求めます。
ビジネスパートナーと協働し、環境や社会に配慮した価値を創出し続ける、持続可能なサプライチェーンの構築を目指します。
サプライチェーンにおけるサステナビリティ推進ガイドライン
1) 法令遵守と国際規範の支持・尊重
-
取引における各国・地域の関連法令・国際的なルールを遵守するとともに、国際的な規範*を支持・尊重する。
- *国連グローバル・コンパクトの4分野(人権・労働・環境・腐敗防止)10原則/国際人権章典(世界人権宣言及び国際人権規約)/国際労働機関(ILO)の中核的労働基準(結社の自由及び団体交渉権の効果的な承認、強制労働の廃止、児童労働の撤廃、雇用及び職業における差別の排除、安全で健康的な労働環境の5分野)/児童の権利に関する条約/国連「ビジネスと人権に関する指導原則」/OECD責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針等
2) 公正な取引と腐敗防止
- 利益相反やマネーロンダリング等の不正の防止、反競争的慣行の防止を含めた公正な取引を徹底する。
- 強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗を防止する。
3) 人権尊重
- 人身取引、奴隷労働を含めたあらゆる形態の強制労働を認めない。
- 児童労働(原則として15歳未満または各国法律で定められた就業最低年齢に達していない子どもの労働)を認めない。
- 安全で衛生的かつ健康的な労働環境の提供に努める。災害・事故等の緊急時の対応策を準備し、周知に努める。
- 採用・雇用時含め、あらゆる差別を許容しない。
- あらゆる形態のハラスメントを認めず、体罰を含む虐待等の非人道的な扱いをしない。
- 従業員の団結権及び団体交渉権を尊重し、労使間の円滑な協議を図る。
- 適用される法令に従い、従業員の労働時間、休日、休暇を適切に管理し、過度な時間外労働を禁止する。
- 法定最低賃金を遵守するとともに、生活賃金の支払いに努める。不当な賃金の減額を行わない。
4) 環境保全
- 環境マネジメントシステムの構築により環境保全活動を実施し、継続的改善を目指す。
- 温室効果ガスの排出量削減に努め、脱炭素社会の実現を推進する。
- 資源・エネルギーの利用効率を改善し、廃棄物の削減に努める。
- 有害廃棄物・汚染物質の削減及び適正処理に取り組み、環境汚染の防止に努める。
- 化学物質の適切な管理を実施し、有害性の低い物質への代替等に努める。
- 水の有効活用と水ストレス地域での水使用量の削減に取り組み、水資源の保全に努める。
- 生物多様性への影響を評価し、ネイチャーポジティブの実現に努める。
5) 品質管理
- 商品やサービスの品質・安全性の維持・確保に努める。
6) 情報管理
- 取引上で得られた機密情報や個人情報を適切に管理・保護し、第三者の知的財産権を侵害しない。
7) 地域社会との共生
- 社会の一員として、地域社会との共生に取り組む。
8) パートナーシップ
- 本ガイドラインに準じた内容を自社のビジネスパートナーに働きかけ、遵守を促す。
9) 情報開示
- 上記に関する適時・適切な情報開示を行う。
4. ビジネスパートナーとのエンゲージメント
当社グループは、ビジネスパートナーと共に同じゴールを目指して成長し続ける関係を築くことを目指し、様々なエンゲージメントを行ってまいります。
本ガイドラインの遵守状況を把握するため、ビジネスパートナーとのコミュニケーションを深め、実態の把握に努めていきます。
本ガイドラインに関わる重大な違反が確認された場合には、対象となるビジネスパートナーに問題の改善対応を求めます。継続的な指導や支援を行っても是正が困難と判断された場合には、取引を見直す事も含めて対応します。
当社グループとの取引において、当社グループの従業員やビジネスパートナーが本ガイドラインに関わる違反をした場合、またはその疑いがある場合、お問合せ窓口より通報願います。通報者や通報内容の秘匿性を確保し、不利益に取り扱うことはありません。
5. 分野別方針
責任ある鉱物調達方針
- 1)紛争地域等の高リスク地域における強制労働・児童労働をはじめとする人権侵害、武装勢力への資金供与、不正取引、紛争への加担、環境破壊等に関わらない責任ある鉱物調達を行うよう最善を尽くします。
- 2)顧客からの要請に応じて、サプライヤーと協力し、国際的なフレームワークに沿った調査を行います。
木材調達方針
- 1)サプライヤー協力のもと、取り扱い木材のトレーサビリティ確保に努めます。
- 2)森林資源を保全し、生態系と生物多様性の保全に配慮した、適切に管理された持続可能な森林資源の調達に努めます。
- 3)森林伐採や木材加工の過程における人権への負の影響の防止・軽減に努めます。
- 4)国際的に信頼のある森林認証を取得した木材製品の取り扱い拡大に努めます。
2024年11月制定
目標
「サステナビリティ中期計画2026」の中で、戦略およびKPI・目標を定めました。
戦略 | KPI・目標(2024年4月~2027年3月) | バウンダリー |
---|---|---|
サプライチェーンマネジメントの強化による調達・供給機能の強靭化 | 責任ある調達に関する当社姿勢を明確にし、社内外に浸透 | 単体 |
取引先スクリーニングシステム
サプライチェーンマネジメントおよび人権デューデリジェンスの一環として、コンプライアンスや環境・社会面のリスクに対して、取引先をスクリーニングするシステムを2023年度から導入しました。
既存・新規の取引先をこのシステムでスクリーニング・モニタリングすることにより、サプライチェーン上のリスクを広くチェックしていきます。問題のある取引先については、個別にコミュニケーションをしていくことも検討しています。
また、今後はシステムでのスクリーニング・モニタリングだけではなく、サプライヤーへの直接的なアンケート調査なども検討していきます。
ビジネスパートナーとの連携(倉庫管理)
当社グループにとって、トレーディングを補完する機能のひとつである物流機能は、付加価値を提供するのになくてはならない大事な機能です。重要なビジネスパートナーである外部の倉庫会社と連携して、高品質な在庫サービスを提供できるよう、倉庫管理を行っています。
当社グループの契約倉庫は、保管環境面(建屋の堅牢性やセキュリティ体制、適切な区分等)やIT対応面、BCP対応面、倉庫管理面(安全管理、入出庫管理等)などから定期的な評価を行っています。
また、原則として少なくとも年一回は実地棚卸を行っています。営業本部の担当者が実際に倉庫に赴き、在庫数量の確認だけでなく、在庫状況や管理状況の確認、在庫に必要な許認可の確認などを行っています。さらに、管理部門の担当者を立会人として同行させ、実地棚卸が実施規則や実施マニュアルに基づいて適切に行われているかどうかを確認しています。

商品・仕入先管理(食品事業)
生活産業セグメントの食品事業では消費者の安全や健康に直接関わるため、商品管理および仕入先管理について高いレベルが要求されます。
「顔の見える生産者から顔の見える消費者へ」をモットーに、安全・安心な農産物や水産物を世界中から提供するため、厳正な商品・仕入先管理を行っています。仕入先と取引を開始するにあたっては、ヒアリングや監査等で国際認証の有無をはじめとする基本調査を行い、また、海外から食品を輸入する際には、使用農薬や残留農薬が日本の基準に合致していることを確認することなどを、仕入業務フローのなかで規定しています。
パートナーシップ構築宣言
当社は、内閣府や中小企業庁等が推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し「パートナーシップ構築宣言」を公表しています。