代表取締役社長 稲畑 勝太郎

株主・投資家の
皆さまへ

 株主・投資家の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 当社グループは、2030年頃の在りたい姿である長期ビジョン「IK Vision 2030」の実現に向けた第2ステージとして、3カ年の中期経営計画「New Challenge 2023(略称NC2023)」を2021年4月より推進しており、2023年3月期はその2年目となりました。
 樹脂価格をはじめとする販売価格の上昇や円安の追い風もあり、売上高、営業利益はNC2023 2年目の計画を上回りましたが、フラットパネルディスプレイ需要の急激な減少や、海外における調達金利の上昇などにより、経常利益以下はやや未達となりました。
 財務面では、ネットD/Eレシオは0.16と健全性を維持しながら、資本効率向上のため自己株式取得を継続して行いました。その結果、ROEは、NC2023の目標値である10%以上を維持しています。

 最終年度となる2024年3月期の業績見通しにつきましては、足元の経済環境や事業の状況、為替レートがNC2023想定より円安となる見通しであること、海外を中心とした調達金利上昇等の影響を考慮し、売上高8,000億円、営業利益210億円、経常利益200億円、親会社株主に帰属する当期純利益210億円を予想しております。

NC2023の主要重点施策のひとつ、「将来の成長に向けた投資の積極化」では、成長投資を加速することで事業拡大を積極的に目指しており、2023年3月期には、電池を含む再生可能エネルギー分野や食品・農業の川上・川下分野への投資を実施いたしました。今後は、これら案件の確実な収益化を目指すととともに、新たな投資の方向性としては、既存事業とのシナジーを念頭に、商社グループとしての強みが発揮できる付加価値の高い事業に力を注いでいきます。

 また、2023年3月期にはサステナビリティの取り組みを加速しています。2022年3月、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、取締役会の決議を経て「稲畑産業グループ 人権方針」を制定しました。また、「人権への負の影響の特定・分析・評価」のための人権リスクアセスメントに取り組んでいます。2022年4月には、「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」に署名し、参加企業として登録されました。
 気候変動の取り組みとしては、2022年6月、事業活動での温室効果ガス(GHG)排出量を2050年度までに実質ゼロ※にする「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表しました。
※自社排出分(GHGプロトコルのスコープ1(自社での燃料の使用)およびスコープ2(自社が購入した電気・熱の使用))が対象

 注目が高まっている人的資本経営についてですが、私は“新たな価値を創造する社員は、当社グループにとって最大の財産”だと考えています。多様な背景や強みを持つ社員が、それぞれの能力を最大限に発揮できることが、当社グループの競争力を高め、持続的な成長につながると考えており、そのために新たな働き方改革やダイバーシティ&インクルージョン、従業員エンゲージメント、人財育成・能力開発等の取り組みを進めています。

 世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から緩やかに回復しているものの、急激なインフレとそれを受けた金融引き締めによる影響が大きく、またウクライナ情勢等の地政学リスクもあり、グローバルにビジネスを展開する当社グループをとりまく環境は引き続き不透明です。しかし、当社グループの商社機能を基本としたビジネスモデルに変わりはなく、経済環境や社会の変化に適切かつ迅速に対応しながら、グループ全社でNC2023の主要重点施策に取り組んでまいります。

 株主・投資家の皆様におかれましては、引き続き変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2023年7月
代表取締役社長
代表取締役社長 稲畑 勝太郎

ご参考

中期経営計画NC2023 最終年度について

2023年3月期
実績
2024年3月期
見通し 目標
売上高 7,356億円 8,000億円 8,000億円
営業利益 203億円 210億円 205億円
経常利益 191億円 200億円 215億円
親会社株主に帰属する
当期純利益
194億円 210億円 225億円
ROE 11.0% 10%以上 10%以上
Net D/E レシオ 0.16倍 0.5倍以下 0.5倍以下
自己資本比率 47.2% 概ね40~50% 概ね40~50%
為替レート ¥135.5/USD ¥130/USD ¥120/USD

【主要重点施策】

  1. 主力ビジネスのさらなる深掘りと成長分野への横展開
  2. 将来の成長が見込める市場への多面的な取り組みと確実な収益化
  3. 将来の成長に向けた投資の積極化
  4. グローバルな経営情報インフラの一層の高度化
  5. 保有資産の継続的見直しと資金・資産のさらなる効率化
  6. 人的資本活用に向けた取り組みの強化

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