稲畑産業グループは、経営理念「『愛』『敬』の精神に基づき、人を尊重し、社会の発展に貢献する」を掲げ、信頼を礎とする人間尊重の経営を続けてまいりました。この「人」と「社会」を大切にする思想は、今日、世界が目指す「持続可能な社会の実現」に貢献しうるものだと考えています。

ここ数年で、サステナブルな企業経営を求める社会的な風潮は、明らかに加速しています。環境保全、人権の尊重、社員の労働環境への配慮、公正な取引など、解決すべき社会課題は山積しており、これら社会課題の解決に対して、ビジネスセクターである企業への期待が高まっていることへの証であると思います。

2021年10月には、私が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置しました。社外取締役の方々にもオブザーバーとして参加していただいており、活発な議論を行っております。
続いて11月には「サステナビリティ基本方針・行動指針」を、2022年3月には「人権方針」を定めました。これらを当社グループの事業活動の基準とするとともに、本方針を通じてステークホルダーの方々の理解と協働を推進していきたいと考えております。
そして2022年4月には、国連グローバル・コンパクトに署名し、参加企業として登録されました。国連グローバル・コンパクトが掲げる10原則の実践に努めてまいります。

社会課題の中でもとりわけ、気候変動問題は喫緊の課題であり、世界各国で脱炭素化の動きが急速に進んでいます。そこで2022年6月、当社グループも「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表しました。今後カーボンニュートラルの達成に向けて、さらなる脱炭素化の取り組みを強化していくとともに、脱炭素社会に貢献する様々な商材やソリューションの提供に注力していきます。

2022年6月にはマテリアリティ(重要課題)を特定し、公表しました。ステークホルダー・ダイアログを通じて外部意見も頂きながら、持続的な成長を目指すための経営の重要課題について、サステナビリティ委員会で議論を重ねました。結果、「持続的な価値創出」と「事業継続のための基盤」という2つのカテゴリーで合計6つのマテリアリティを設定しました。課題を直視し、解決に向けた行動を起こすことは、当社グループの社会的責務であると同時に、グローバルな成長を続けるうえで大いなるチャンスであると考えております。

時代を超えて社会から必要とされる商社であるために、あらゆる事業活動を通じて、長期的な企業価値向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。

2022年11月
稲畑産業株式会社
代表取締役社長執行役員
サステナビリティ委員会委員長