方針・基本的な考え方

稲畑産業グループの最大の財産である社員が、自らの持てる力を最大限に発揮するためには、働く環境の安全確保と健康の維持・増進が重要な課題だと考えています。いかなる国・地域での就労においても、適切な管理体制の下、各国・各地域の労働基準・各種法令の遵守を基本とし、さまざまな施策を通じて、過重・長時間労働や労働災害の防止、従業員の疫病リスク低減と健康維持・向上に努めています。
稲畑産業グループのすべての役員および従業員(嘱託社員・派遣社員含む)がイキイキと健康に、そして安全に安心して働き続けられる職場環境の整備を進めます。
また、「サプライチェーンCSR行動指針」において「4.従業員に対して安全、衛生的でかつ健康的な労働環境を提供し、災害・事故などの緊急時の対応策を準備し、周知に努める。」ことを明記し、お取引先をはじめとするステークホルダーの皆様にご理解をいただくとともに、実践へのご協力をお願いしています。

体制・システム

当社グループの労働安全衛生マネジメントは、人事担当の代表取締役専務を最高責任者とし、人事室が取りまとめる体制で推進しています。
人事室長を委員長とし、産業医、看護師・保健師、衛生管理者、労働組合の推薦に基づく社員から成る衛生委員会を月に1度開催し、産業医や看護師・保健師の助言を得ながら、社員の健康を支える仕組みや職場の安全・環境改善等について協議しています。環境測定結果や長時間労働状況、傷病事故状況等についての定期的な報告のほか、定期健康診断実施、ストレスチェック実施や各種予防接種等のテーマについて議論し、労働安全対策へ反映しています。また、毎月議事録を社内ポータルサイトに掲載し社員へ発信しています。
労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001については、樹脂コンパウンド製造を行う海外グループ会社のPT. S-IK Indonesiaが取得しています。

リスクアセスメント

当社グループの強みの1つである樹脂コンパウンド事業を行う海外子会社7社では、様々な業務インパクトを極小化し、円滑かつ持続的な経営を図るためのツールとして、製造マネジメント診断を実施しています。
製造マネジメント診断は、「生産基盤」「業務管理」「原価改善」という3つのパートに分かれており、「生産基盤」のパートには、安全衛生管理・防災管理・健康管理・環境が含まれます。生産基盤を適切に管理することにより、安全最優先な現場を実現し、従業員やステークホルダーへの責務を果たすことが、このパートの診断目的です。
工場のオペレーションにおける安全衛生管理や災害の未然防止、危険予知、安全ルール等に関する項目について、工場がチェックシートに沿って自己診断を行うとともに、本社のコンパウンド統括室がフィードバック診断を行っています。
この活動を通じて、各拠点は自社のリスクを把握することができ、把握したリスクを自拠点のマネジメント強化に反映させ、継続的な改善活動に繋げています。
また、工場の新設に際しても、同様の項目でオペレーションや労働環境を評価し、安全最優先の現場の実現を目指しています。

健康経営宣言

当社では、2022年7月「健康経営宣言」を策定しました。

健康経営宣言

「愛」「敬」という人間尊重の精神を理念としている中で、従業員が心身ともに常に健康であることが会社としての願いです。
稲畑産業では、社内に健康経営を推進する体制を作り、会社全体で従業員の健康維持・増進に向けた取り組みを実施します。

稲畑産業株式会社
代表取締役社長
稲畑 勝太郎

健康経営推進体制

代表取締役社長を健康経営最高責任者、人事担当の代表取締役専務を健康経営推進責任者に任命し、人事室・医務室・健康保険組合が連携し、健康経営を推進します。また都度、衛生委員会で健康経営推進担当者と意見交換、情報共有を行い、健康経営各施策について従業員と協議を行います。

健康経営の目的

当社の理念である「愛」「敬」という人間尊重の精神に基づき、従業員の心身の健康は、経営における重要課題の1つであると考えています。また、新たな価値を創造する従業員は、当社にとって最大の財産であり、一人ひとりが持てる力を大いに発揮できるかどうかは、当社の持続的な成長に大きく影響します。
そのため、従業員の健康に関する課題を把握し、解決に向けた取り組みを推進することで、従業員が健康でイキイキと活躍し、持続的に成長できる企業となることを目指します。
マテリアリティにおいても「価値創造を担う人的資本の育成・強化」を掲げています。

健康経営における課題

当社では、生活習慣病の原因となり得る血圧・肝機能・脂質・血糖に関して、有所見となる従業員が同業他社の平均に比べて多いため、各項目の有所見者を一人でも減らすことを課題としています。それにより、プレゼンティーズム・アブセンティーズムによる労働力損失の防止や、従業員にパフォーマンスを存分に発揮してもらうことを目指しています。

*プレゼンティーズムとは「出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題が作用して、パフォーマンスが上がらない状態のこと」、アブセンティーズムとは「心身の体調不良が原因による遅刻や早退、就労が困難な欠勤、休職など、業務自体が行えない状態のこと」

健康戦略マップ2023

健康経営の主な取り組み

ウォーキングイベント

継続的な運動奨励の支援のため、毎年春と秋にウォーキングイベントを開催し、毎回約200名の社員が参加しています。
2023年春はウォーキングイベントに加え、イベント参加者が7,000歩を歩く毎に給食1食分の金額を開発途上国に寄付されるという社会貢献活動プログラムを実施しました。本プログラムに多くの社員が賛同した結果、NPO法人TABLE FOR TWO Internationalが主催するプログラム「TABLE FOR TWO(TFT)」を通じて5,000食を超える寄付を行うことが出来ました。寄付を行うと共に参加社員の健康増進にもつながるなど、TFTの概念にも沿った活動になりました。

ウォーキングイベントのチラシ
ウォーキングイベントのチラシ
スポーツジム費用補助

連続3か月を超えてスポーツジムの会員である社員に対し、会社と健康保険組合から費用補助をしています。約70名の社員が利用しており、社員の健康づくり支援を行っています。

オフィスでやさい/ごはん

オフィスでいつでもヘルシーな食事が食べられる「OFFICE DE YASAI」というサービスを導入しています。管理栄養士が監修した、サラダやカットフルーツ、スムージー、お惣菜などを、オフィス内に設置している冷蔵庫から手軽に購入することができます。朝食抜きの改善や残業時の軽食でも利用されており、社員の食生活支援、生産性向上に寄与しています。

OFFICE DE YASAI
オフィスに設置されている
「OFFICE DE YASAI」の冷蔵庫
社内マッサージルーム

社員の健康管理、疲労回復、疾病の予防などのためにマッサージ施設を東京・大阪の両本社に設けています。あん摩、マッサージ指圧師などの免許(国家資格)を保有するヘルスキーパーが、マッサージや健康への助言などを行い、社員の業務の効率向上と健康増進につなげています。
また、ヘルスキーパーとして視覚障がい者を雇用し、障がい者の方々の雇用や活躍の促進も図っています。

東京本社のマッサージルーム
東京本社のマッサージルーム

健康経営関連データ

2022年度の健康経営に関するパフォーマンスデータは以下の通りです。

項目 内容 2022年度実績
健康診断後の精密検査受診率 健康診断後の要精密検査受診対象社員の内、実際の精密検査受診社員の割合 77.9%
喫煙率 習慣的に喫煙する社員の割合 20.8%
運動習慣者比率 1週間に2回、1回当たり30分以上の運動を実施している社員の割合 35.4%
適性体重維持者比率 BMIが18.5~25未満の社員の割合 63.9%
血圧リスク者 収縮期血圧180mmHg以上または拡張期血圧110mmHg以上の社員の割合 0.2%
血糖リスク者 空腹時血糖が200mg/dl以上の社員の割合 0.5%
糖尿病管理不良者率 HbA1cが8.0%以上の者の割合 1.3%
婦人科健診(乳がん)受診率 婦人科健診(乳がん)を受診した女性社員の割合 69.3%
婦人科健診(子宮がん)受診率 婦人科健診(子宮がん)を受診した女性社員の割合 78.0%
アブセンティーズム 過去1年間の病気による休暇取得日数の平均 2.8日
プレゼンティーズム SPQを利用して算出した、健康上の問題による出勤時の生産性の度合い 23.0%
ワークエンゲージメント 活力・熱意・没頭の平均値(満点4) 2.45
ヘルスリテラシ― 運動や食生活等の生活習慣を改善してみようと考えている社員の割合 82.8%
ストレスチェック受検率 ストレスチェックを受検した社員の割合 87.5%
高ストレス者率 ストレスチェックで高ストレスと判定された社員の割合 7.5%
各施策の満足度
※満足と回答した者の割合
ウォーキングイベント 67.6%
スポーツジム費用補助 66.5%
オフィスでやさい・ごはん 58.8%
マッサージルーム 72.5%
  • 対象:稲畑産業(株)
  • *SPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)は、平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業「東京大学ワーキング」で開発された、1項目の設問によりプレゼンティーイズムを簡便に測定できる尺度のこと。
    【設問】病気やけががないときに発揮できる仕事の出来を100%として過去4週間の自身の仕事を評価してください。
    →回答:    %(1~100%)
    【算出方法】プレゼンティーイズム=100% - 回答値

メンタルヘルス

社員の心の健康は、社員本人とその家族の幸福な生活、活気のある職場づくり、生産性向上のために重要な課題であることを認識し、心の健康づくり計画を基に、メンタルヘルス不調への対応だけでなく、職場でのコミュニケーションの活性化などを含めた広い意味での健康づくりに取り組んでいます。
社員のストレスの程度を測り、自身のストレスへの気付きを促すとともにメンタルヘルスの不調を未然に防止することを主な目的として、毎年ストレスチェックを一斉実施しています。高ストレス社員に対しては産業医面談の勧奨を行うとともに、組織診断を実施し、その分析結果を職場にフィードバックすることで、職場環境の改善につなげています。
また、社員がいつでも気軽に相談ができるよう、産業医や看護師が社内の医務室で面談を通じてきめ細かく対応できるようにしている他、相談窓口を社員に周知しています。
全社員向けおよび管理監督者向けの様々なメンタルヘルス関連研修も行っています。

情報機器健診

日々の業務の中で、パソコン等の情報機器を使用する社員が多いことから、国内勤務の社員・嘱託社員を対象に、情報機器健診を行っています。
各自が問診票を提出後、産業医の判断により必要と判断された社員は検査を受診します。視機能検査、筋骨格系検査、医師による問・視・触診により、身体的・精神的疲労の診断を行い、健康管理と指導を促しています。他社からの出向者、派遣社員、または産業医からの連絡がない社員も、検査を希望する場合は、受診をすることが可能です。

感染症対策・海外赴任者の健康と安全

当社グループは、海外拠点を多く有する企業として、結核・マラリア・HIV/AIDS等をはじめとするグローバルな健康課題へ対応することの重要性を認識しています。海外では数多くの感染症が流行しているため、現地での生活上の注意とともに、予防接種を出国前に受けておくことが推奨されています。当社の海外駐在員および帯同家族は、赴任前に健康診断および必要な予防接種を受診しています。推奨する予防接種を提示するとともに、外務省・厚生労働省検疫所・国立感染症研究所等で開示されている渡航先の最新情報を確認のうえ、必要な予防接種を受けるよう推奨しています。なお、接種費用はすべて会社負担です。また、海外駐在員および帯同家族は、健康診断を1年に1度必ず受診することとし、海外駐在員本人の診断結果は産業医に提出を義務付け、健康管理を行っています。
海外赴任に際しては、安全対策や健康管理・医療に関する海外赴任前研修を行っています。

健康・安全に関する研修

ストレスチェックやe-learningによる安全運転講習などの健康・安全に関する諸研修を実施しています。

労働災害の発生状況

稲畑産業(株) および海外樹脂コンパウンド製造会社7社の労働災害の発生状況(正社員・契約社員の労働災害(死亡災害)件数/休業災害度数率/休業災害強度率)を報告しています。