方針・基本的な考え方

稲畑産業グループは、気候変動をはじめとする地球環境に関する様々な課題に対して、事業を継続するうえでのリスクであるとともに、新たな成長機会でもあると考えています。
マテリアリティにおいても「脱炭素社会・循環型社会への貢献/自然資本の持続可能な利活用」を掲げ、事業を通じた環境課題の解決への貢献を表明しています。
中期経営計画「NC2023」のなかでも言及しているように、すべてのセグメントにおいて環境負荷低減商材の拡充を図っています。

環境負荷低減商材の分野

2021年度報告から環境負荷低減商材の分野を見直し、クリーンテック分野を中心に整理し直しました。
2022年度は、「エネルギー・電力分野」「資源・環境分野」への取り組みの強化等により、販売が順調に拡大しました。「素材・化学分野」についても、昨年の売上高より大きく伸長しました。
2023年度は指標・目標の策定を予定しており、今後も環境負荷低減商材の拡充を図っていきます。

分野 主な内容 2021年度売上高
(百万円)
2022年度売上高
(百万円)
エネルギー・電力 再生可能エネルギー関連、電池関連など 13,463 17,518
資源・環境 持続可能な原材料、リサイクル、水関連など 4,201 7,585
素材・化学 低炭素部材、環境汚染物質削減など 735 1,537
農業・食料 食料廃棄物削減、土壌改良など 0 0
交通・物流 EV充電、グリーン物流など 0 0
環境認証 森林認証FSC・PEFC、水産認証MSC・ASCなど 328 317
合計 18,727 26,957
  • *対象範囲:稲畑産業グループ(連結)
  • *2021・2022年度ともに「農業・食料」「交通・物流」の実績はなし。
  • *合計値は単純合算。
  • *2023年に分野内の内容の見直しや一部組み換えを行い、2021年度の売上高を再算定。
    2022年に報告した内容と分野ごとの数値に変動があるが、合計数字には変更なし。

なお、上記の中でクリーンテック分野の主な商材の売上は以下の通りです。

分野 内容 2021年度売上高
(百万円)
2022年度売上高
(百万円)
エネルギー・電力 バイオマス発電関連 1,614 1,742
水素関連 223 60
太陽光発電関連 8,087 7,435
風力発電関連 156 0
リチウムイオン電池関連 3,383 8,282
資源・環境 リサイクルプラスチック、バイオマスプラスチック、生分解性プラスチック類 1,510 4,292

事例:木質専焼バイオマス発電所【エネルギー・電力】

当社は、中部電力(株)、太平電業(株)、東京産業(株)、Solariant Capita(株)(以下ソラリアント)、日立造船(株)の各社とともに、ソラリアントが設立した「福山バイオマス発電所合同会社」(以下、本事業会社)との間で匿名組合契約を締結し、本事業会社がプロジェクトファイナンスによる融資契約を締結しました。
本事業会社は、広島県福山市において発電出力 52,700kW の木質専焼の「福山バイオマス発電所」を建設、運営することを目的とした会社で、2025 年 5 月の運転開始を目指しています。想定年間発電電力量は約3.8億kWh(一般家庭約12万世帯分に相当)です。
当社は、本発電事業において、本事業会社の燃料である木質チップ(広島県産の未利用間伐材等)の管理業務を受託します。

発電所完成後のイメージ図

事例:マテリアルリサイクルビジネス【資源・環境】

当社では、プラスチック加工工場の製造工程で発生する廃プラスチックや使用済みプラスチックをリサイクルする、マテリアルリサイクルビジネスに取り組んでいます。
本ビジネスは、顧客企業であるプラスチック加工メーカーが、廃プラスチックの処理に困っていたことから、資源有効活用の提案として始まりました。当社がプラスチック加工工場や物流倉庫などから回収した廃プラスチックは、提携先のリサイクル業者で分別・粉砕・溶解後、ペレット状の再生樹脂原料に加工されます。長年の合成樹脂事業の経験を生かし、廃プラスチック回収から加工・販売まで当社が一貫して携わることで、高品質な再生樹脂原料の安定供給を実現しています。
出来上がった再生樹脂原料は、プラスチック加工メーカーで再利用されるほか、国内外の当社グループの製造・加工会社などで加工され、新たなプラスチック製品に生まれ変わります。現在は、エコバッグやごみ袋のほか、各種生活雑貨容器をはじめとした暮らしに身近な商品への展開も進めています。

当社が取り組むマテリアルリサイクルビジネスが取り扱う再生樹脂原料は、従来の再生樹脂原料を取り扱う他企業とは一線を画しています。
従来の再生樹脂は量産を目的としているため、樹脂の種類や品質や供給量にばらつきがありますが、当社は、回収した廃プラスチックを厳選し管理を行うことにより、生産ロスやリペレットされたプラスチックの品質のばらつきを低減しています。また、生産したリペレットの物性試験や溶出試験を行うことで、高い品質と安定した供給量を実現することができます。
「リサイクルプラスチック=付加価値」という新たな市場を創造することで、環境意識の高いブランドオーナーから求められる商材を目指しています。

資源循環型ビジネスモデル

事例:汚泥減容事業【資源・環境】

生活産業本部では、日本の産業廃棄物のなかでも排出量の多い「汚泥」を減容する事業を開始しました。

日本の産業廃棄物の現状

「汚泥」とは、事業活動によって生じた排水の処理過程などで発生する泥状の廃棄物のことです。環境省が発表している「産業廃棄物の排出及び処理状況等」によると、日本の産業廃棄物のなかで最も排出量が多いのが「汚泥」となっています。汚泥は有機汚泥と無機汚泥に分けられ、前者は食品工場などから排出される有機質を含む廃水からの汚泥、後者は土木工事現場や金属工場などから排出される主に砂や金属成分等を多く含む汚泥です。

汚泥減容事業概要

各家庭や工場などからの排水(汚水)は放流前に基準以下のレベルまで処理が必要なため、下水処理場などで処理しています。一般的な浄化方法である活性汚泥法では、活性汚泥(有機汚泥)のなかの微生物の活動を酸素の供給等で活発にすることによって汚れ(有機物)を捕食・分解し、水をきれいにします。しかし、微生物の死骸(死菌)などが余剰汚泥として残り、これが産業廃棄物となります。
当社が取り扱っている微生物製剤は、余剰汚泥の死菌を分解するための酵素を出し、その酵素によって死菌の細胞壁を壊すことができるため、汚泥(産業廃棄物)の排出量を減らすことができます。また、汚泥減容による副次的効果として、CO2排出量削減にも貢献します。
当社は、これまでの食品メーカーとのビジネス経験から、食品工場の排水処理への展開に可能性を感じ、本事業を開始し、現在では自治体にも納入をしています。本事業の拡大によって、当社の成長と国内の廃棄物削減を目指していきます。

導入事例:岩手県矢巾町

処理場(3カ所)の汚泥処理費用が約23百万円/年(2021年度実績)であった岩手県矢巾町において、目的や対象物にあわせたオリジナルブレンドの微生物製剤を投入したところ、以下の効果を得ました。

※ 3カ所の処理場のうち、1カ所が2022年10月以降は汚泥の引き抜きがゼロとなっており、残り2カ所も同様の比率で進捗した場合のシミュレーション結果。2023年4月から2カ所目も開始しており、6月時点で汚泥の引き抜きはなし。