複合機能を駆使して
付加価値を提供します。

ITが世界の距離を縮め、物流網が発達した現代では、単に取引をつなぐだけのビジネス、いわゆる仲介的な取引は長期的に存在しえません。稲畑産業は自社が持つ複合的な機能を駆使して、仲介取引に終わることなく付加価値を提供しています。この付加価値の提供こそが、稲畑産業の市場における存在意義と言えます。

稲畑産業が提供する付加価値

商社ビジネスを支える
3つの複合機能

1.製造加工機能

稲畑産業は、グループとして世界に製造加工子会社を約20社(※1)保有し、約740億円の売り上げがあります(※2)。これは、連結売上高7,356億円(※3)の約10%に相当する規模です。

製造加工機能の一例として、合成樹脂事業においては、アジアを中心に7ヵ国7拠点で樹脂コンパウンドの製造加工拠点を運営しています。樹脂コンパウンドとは、プラスチックの用途に応じて、原料樹脂に着色剤や難燃剤などを添加して、新たな特性を持たせたものです。これらの拠点の生産能力は合計で年間19万トン、売上高は約430億円(※2)です。

顧客は、この樹脂コンパウンドを原料として、自動車、OA、家電などで使うプラスチック部品を成形します。顧客の多くはグローバルに事業を展開しており、世界各地で安定した樹脂コンパウンドの供給を求めています。各地に製造加工拠点を持つ稲畑産業は、そのニーズを満たすことができ、これが他の商社との差別化につながっています。
この樹脂コンパウンドビジネスが「武器」となり、樹脂原料の販売が世界各地で拡大しているだけでなく、合成樹脂以外の化学品添加剤などのビジネス拡大にもつながっています。

  • (※1)2023年3月末の製造加工業の連結子会社数
  • (※2)2023年3月期の単純合算値
  • (※3)2023年3月期の連結売上高
画像左:樹脂コンパウンド / 画像右:タイの樹脂コンパウンド工場
製造加工拠点を持つ稲畑産業

2.物流機能

グループ内で長年蓄積した商品知識やノウハウに基づき、信頼のおける倉庫会社・運送会社をパートナーとして、最適な物流機能を顧客に提案・提供しています。世界各地でビジネスを展開する顧客に対しては、稲畑産業のネットワークとノウハウを活かした“VMI(Vender Managed Inventory)”を提供しています。

VMIは稲畑産業が顧客に代わって在庫レベルの管理・補給を行うシステムです。ITを使って顧客の生産情報を分析し、多数の仕入先や物流業者を調整して、顧客へ効率的に原料や資材を納入します。一例として、インドネシアでは、顧客が求めるタイムリーなデリバリーとワンストップサービス実現のため、自動車部品や樹脂原材料を扱う自社物流センターを2017年初めよりスタートしました。顧客の利便性が高まったことにより、取引量は順調に増加し、2019年には倉庫を増設しました。今後、新たな商材の供給も予定しています。

VMI取引の流れ

3.ファイナンス機能

顧客の資金負担軽減や為替リスク回避等の課題に対する解決策を提案・実行しています。顧客が期待するファイナンス機能を提供するには、強固な財務基盤が必要です。稲畑産業では、ネットD/Eレシオ(※4)を重要な経営指標と位置づけ、常に財務の健全性向上に努めています。

下記は、自己資本、ネット有利子負債、ネットD/Eレシオの推移をあらわしたグラフです。ネットD/Eレシオは、順調に低下傾向にあり、財務の健全性が進んでいることがお分かりいただけると思います。

ファイナンス機能は重要な「武器」ですが、それだけにとどまらず、さらに製造加工機能や物流機能など、稲畑産業ならではの付加価値を顧客に提供することで、長期的に存在意義のあるビジネスにつなげるよう努めています。

(※4)ネットD/Eレシオ=(有利子負債―現預金)/自己資本
この指標は、低ければ低いほど財務状況が健全であること表しています。