胸に「誇り」を、
魂には「愛」を。

信号も何もなく、一人あたりのGDPも4~5万円程度。当時私が駐在していた稲畑シンガポールの営業として初めて訪れた2002年のベトナムは、そんな国でした。今でこそ様々な企業がひしめいていますが、当時はただ野原が広がるだけ。最初の仕事は、たった一人で工場のFSを行い、用地を探し、土地の整備を手配することから始まりました。基礎工事の様子を確認に行った時のこと、ふと周りを見ると、自分の母親と同年齢ほどの女性が働いていました。驚いて「あの人の給料は、いくらなの?」と聞くと、USドルで1ドル。つまり、1日重労働をして120円ほどだと。それでも他に仕事もなく、選ぶことはできない状況だったのです。そんな環境に、私たちはパートナー企業と共に工場を建て、新たな雇用を生み出しました。そして商社部門にも一人、二人とスタッフが増え、私たちが供給する樹脂は、現地のメーカーさんの製品となり、その製品の輸出を通してベトナムという国に還元されていきました。私たち商社の仕事は表に出にくく、価値を説明するのは非常に難しいものです。けれども、駐在当時のベトナムにおいて、私たちの仕事は間違いなく国の発展を支えていました。当時、私は一緒に働く仲間たちに「誇りを持って、仕事をしましょう」と話したものです。

と、今でこそ昔を懐かしんで話ができますが、当時はただ、目の前のことに精一杯でした。私が初めて海外駐在をしたのは、27,8歳の頃。若いうちに異質な環境に身を置き、現地で様々な経験を積んだことは、私を大きく成長させてくれたのではないかと思います。海外駐在は自己裁量が大きいぶん、責任も重い仕事です。20代後半という年齢だった自分を信じて、海外に行かせてくれた会社の判断には本当に感謝しています。だからこそ、自分も若い世代を信じて、任せていきたい。若い人こそ、現場で経験すべきことがたくさんあります。海外現地企業との取引も今後さらに増加していく中で、若い世代が現地のスタッフと協力して仕事を進めていく機会は増えていくでしょう。あえて若手を異質な環境へ早めに送り出すことは、今後さらに必要となっていくのです。こうした人材育成の考え方の軸となるのは、社是である「愛敬」。これをいかに一人ひとりの心の中に熟成させていくか。難しいですが、上司が持つ後人を信じて任せていく精神、そして任された方は先輩・上司からにじみ出るものをつかみとっていく、ということなのかもしれないと考えています。

道は、失敗の中にあり。

私たちは、必勝法のない世界にいます。仕入先・お客様、様々な状況によって、話し方、ものの見方、対応の仕方を変えていかなくてはなりません。正解がないことに、不安を覚える人もいるでしょう。しかし、自分が試行錯誤のうちに見つけだした答えを武器に商売の荒波を越えていくのも、この仕事の醍醐味です。そんな商売の世界における、一番の先生はお客様と仕入先。そして、失敗です。若い皆さんにはたくさん失敗して、そこから何かを学んでいただきたい。そのとき単に個別の原因だけを考えるのではなく、本質的になぜ失敗したのかを考え共通解を見つけ、道を見出してほしいと思います。そうでないと、同じような失敗をしてしまいますからね。その道は、きっと自分だけの答えへと導いてくれるはずです。

また、今後さらに加速していく競争の中で、皆さんには、サバイブできる存在になることを期待しています。それは必ずしも、勝負に勝つということではありません。たとえ負けても腐らず、次のステージで勝負ができるようになること。そしてゆくゆくは、組織に縛られるのではなく、会社へも周りの人へも自分の意見をきちんと伝えられる、自立した存在を目指していただければと思います。稲畑の魅力は、「こういうやり方でないとダメ」と強制しないこと。個人の「やりたいこと」ができるかは分かりませんが、その人が「やりたいようにやってみる」ことはできます。年齢や経験を重ねていけば「何をやりたいか」はもっと明確になっていくでしょう。

新卒で就職することは、一生に一度。弊社に限らず、いろんな業界や人に出会い、考え感じる機会を大事にしてください。その結果、弊社を選んでいただけるのであれば、決して損はさせません。

それでは、皆様にお会いできるのを楽しみにしています。