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社長インタビュー
「愛」「敬」の精神を胸に、第四の創業の扉をひらく―


─120周年にあたって従来の経営理念・行動指針を見直されましたが、そこには、そういった意味合いがあるのですね。

 その通りです。これまでの時代の中ではおそらく、稲畑産業の精神とか、文化といったものは上司から部下へ、そして同僚たちの間で、会社の文化としてごく自然に引き継がれてきたものではないかと思います。しかし、仕事のスタイルがどんどん変化していく中で、社内のコミュニケーションも変化し、稲畑の文化は確実に伝わりにくくなっている。だからこそ私たちは、これを一度きっちりと明文化し、意識的に共有していくことが必要だと考えました。

社是
愛 敬

経営理念   Mission
「愛」「敬」の精神に基づき、人を尊重し、社会の発展に貢献する

目指す姿 Vision
時代とともに変化する顧客と社会のニーズに応え、
グローバルに事業を展開することにより、価値ある存在として常に進化を続ける

価値観 IK Values
謙虚さと誠実さを基本とする(倫理観)
高い理想、大きな夢、熱い心を持って常に限界に挑戦する(志)
自由闊達な議論とチームワークを重んじ、社員の成長を大切にする(組織風土)
顧客の問題を顧客の立場から解決し、顧客のベストパートナーとなる(機能)
世界の人々と価値を共有し、そこに暮らす人々と共に発展する(共生)

─「経営理念:Mission」「目指す姿:Vision」はどのような意図を込めて作成されたものでしょうか。

経営理念は、私たちが「何のために存在するのか」という根本を言い表した言葉です。120年間受け継がれてきた社是「愛敬」を自分たちの根本としながら社会に尽くすという目的を改めて明確にしており、社是と共に長く受け継いでいくものと捉えています。
 目指す姿については、「変化」と「進化」という商社としての重要なキーワードが含まれています。決して同じところに留まらないという宣言であり、より動的なイメージを表現したつもりです。こちらは時代によって表現を変えていくこともあるかもしれませんが、少なくとも20~30年くらいは通用するものだろうと考えています。

─「価値観:IK Values」ではより具体的に稲畑産業としての価値観が定められていますが、これらはどのように作り上げられたのですか。

 これらに盛り込まれた表現は、実は、「2020プロジェクト」に端を発しています。このプロジェクトはそもそも、営業部門をいかに再編するかという課題がきっかけで立ち上げたものです。営業部門の取締役がリーダーを務め、グループマネジャーを中心としたメンバーが月に2回のペースで週末に集まり、「10年後のあるべき姿」について半年間にわたって議論を重ねてきました。結果としてプロジェクトメンバーから提出された成果が、はからずも経営理念と価値観そのものであったため、これを経営会議で再検討した上で、今回「価値観:I K Values」として定めた、というのが経緯です。

─「Mission・Vision・Value」を定めたことによって、会社がどのように変わっていくことを期待されていますか。

 経営理念や目指す姿、価値観といったものは、策定したからといって、今日から何かが変わっていくというものではありません。私たち経営陣が理念・価値観に基づいた施策を実行に移していく中で全体が一つのストーリーのように繋がって見えたときに、自ずと社員に浸透していくものだと思います。理念や価値観が浸透することによって、社員が自信と一体感を持ってより一層自由闊達に行動し、 判断できるようになってほしいと思っています。そのことが会社をより強くすることに繋がり、社員一人ひとりのやりがいとなってフィードバックされるような職場でありたいと願っています。

─社長は120周年を、「第四の創業」と位置づけられているそうですが。

 かつて、当社が医薬事業部を分離したとき、当時の稲畑勝雄社長(現 相談役)は、第二次大戦後の「第二の創業」に続く、「第三の創業」であると、社員一同に結束を呼びかけたと聞いています。それに続く「第四の創業」という表現は、少し大げさに聞こえるかもしれませんが、このような言葉をわざわざ持ち出したのは、現在の状況に警鐘を鳴らす意味合いもあります。いま私は、はっきりと気づかれていない部分も含めて社会構造に大きな変化が起こっているのではないかと感じています。自分たちから変化を加速していかなければ、これからの構造変化に対応することはできない。「第四の創業」はそのような思いを込めたメッセージでもあります。

─今後、目指す姿として定められているように「価値ある存在」として常に進化を続けるには、何が重要だとお考えですか。

 人材こそが最大の財産ですから、まずは何を置いても人材育成の取り組みが大切です。IK Valueの中にも、「自由闊達な議論とチームワークを重んじ、社員の成長を大切にする」という一文を盛り込んでいますが、上司が部下を本気で育てる企業風土を固めると共に、社員が幅広い経験を積める場を、意識的かつ計画的に与えていこうと考えています。
 そしてもう一つは、「もっと商社に徹すること」です。この言い方はいろんな意味に解釈されるかもしれませんが、何も製造業から手を引いていくという意味ではありません。商社機能にはファイナンスや物流、事業投資、市場開発などさまざまな側面があり、それらを融通無碍に組み合わせて社会のニーズに応えていくのが商社という存在です。絶えず変化に晒される、楽ではない仕事かもしれませんが、それだけにやりがいもあります。モノ作りがある限り、そこには調達ニーズがありますし、新たな技術や製品が生み出される限り、そこには開発や市場開拓のニーズがあります。それらのニーズに応えていくために、人と情報のネットワークをさらに充実させ、情報を読み解くカギとなる専門知識と行動力に磨きをかけ続けることが「もっと商社に徹すること」だと思っています。120年の歴史に決して甘えることなく、先輩達から引き継いだこの会社を、さらにグローバルに発展させていきたいと考えています。

(社史「創業120年 新たな進化の20年」(2011年3月刊)より)

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